命を懸けて人命を救ったヒーロー
平成30年春の受章は6名です。紅綬褒章は、自分の命を顧みずに誰かの命を救ったヒーローに贈られるものです。つまり、受章の理由となる行為には人間として素晴らしい行動力、責任感、正義感が伴っているわけです。
受章者の方々が、どのような行動をしたのか、以下に紹介いたします。
平成30年春、紅綬褒章の受章者一覧
千葉県 伊豆和貴さん
事故があったのは10月29日午後3時20分ごろ、同桟橋の先端部で釣りをしていた女性(26)=館山市在住=が誤って海に転落した。
約10㍍離れた場所で、友人と2人でアジ釣りをしていた伊豆さんは騒ぎを聞いて駆け付けた。
「暴れていたら行かないと決めていたが、浮いていたので迷わず飛び込んだ」。同校水球部のキャプテンとして部活動に取り組んでいたため「泳ぎには自信があった」という伊豆さんは、上着とズボンを脱ぎ捨て、高さ約5㍍の桟橋から飛び込んだ。
以前から人命救助に携わる仕事がしたいと考えており、将来は海上保安庁での勤務を目指しているという伊豆さんは、「(女性が)生きてて良かった」とほっとした表情だった。
「暴れていたら行かない」
この判断基準を持ち合わせているのが素晴らしいです。人命救助は命がけ、失敗は自分の命ごと持って行かれる可能性を含みます。目の前の状況に対して、自分が本当に救助できるかを判断しないままに助けに行って、結果として還らぬ人になっている方もたくさんいます。
水球で鍛えた体力と、常に冷静な判断力、危険を顧みず飛び込む行動力。素晴らしい海上保安庁の職員になる事を期待しています。
東京都 近藤新也さん 永井潤さん
三日午前十時ごろ、江戸川河川敷で魚を捕まえに来ていた三郷市の小学二年の男児(7つ)が落ちた網を拾おうとして、転落。一緒にいた姉の同三年の女児(9つ)と、友人の同一年の男児(6つ)が助けようとして川に入り、溺れたという。
サッカーの観戦をしていた近藤さんもすぐさま川辺に向かい、岸から五メートルほど離れたところでもがく女児と、うつぶせの状態で流れている男児を発見。大学時代にライフセービングをしていた経験から躊躇(ちゅうちょ)せず川に飛び込み、二人を救出した。
直後に現場に駆けつけた永井さんも、あおむけで浮いているもう一人の男児を見つけて川に入り、助け出した。児童三人にけがはなかった。
ここ数年、紅綬褒章の場面をまとめていますが、子供が川で溺れるのパターンはとても多いんですよね。自分も子供を持つ身なので、水遊びには細心の注意をしないといけないなと褒章の時期にはいつも感じます。
山梨県 日原拓哉さん
日原さんは幼いころ、災害から人々を助け出す特撮番組のヒーローにあこがれ、「消防士でなくても人助けはできる」と、普段から消火器や自動体外式除細動器(AED)の使い方の講習会に参加していた。
火災は11月29日夜、甲府市の5階建て市営団地の1階で起き、真上の日原さんの部屋と合わせて108平方メートルが全焼した。学校から帰宅直後だった日原さんは、出火を知ると無我夢中で飛び出し、火元の部屋から足が不自由な70代の男性を背負って救出。火と煙のため階段の踊り場で立ち往生していた高齢者や小学生ら7人を家族や消防団員らと協力して助け出した。
団地には高齢者が多く、日原さんは「何かあった時は自分たちが動こう」と家族で話していた。
「レスキュー高校生」に警察庁長官が感謝状 甲府の火災で8人を救出・誘導
日原さんは「率直にうれしいですが、ぼくだけの力でなく、助けた方々みんなでいただいた感謝状です」と述べ、誘導などで協力した団地の住民への思いを強調した。
日原さんは昨年11月29日夜、住んでいる団地で発生した火災で、1人暮らしの70歳男性を部屋から救出。猛煙で階段が使えない現場で、排水パイプをよじ上って階段の踊り場に向かい、子供を含む7人を安全な場所に誘導した。
テレビ番組で、戦隊ドラマ「トミカヒーロー レスキューフォース」を見て育ったことなどが取り上げられ、話題になった。
テレビで見たヒーローに憧れて、本当に自分も誰かのヒーローになってしまったというそれ自体がフィクションのような素晴らしい話です。
一人の少年を本当のヒーローにしてしまうほどの作品と聞くと、ちょっと気になっちゃいますね。
トミカヒーロー レスキュフォース 爆裂MOVIE! これを観たら君もヒーローになれるかも!?
ちなみに、世界一の紅綬褒章マニアを自称するジョイさん、事前に日原さんの受章を予想してます。
これは日原君、紅綬褒章あるかもなぁ。日本一の紅綬褒章マニアだからなんとなくわかる。
服に火…火災から子供ら8人救出 韮崎工3年日原さんに感謝状(産経新聞) – Yahoo!ニュース https://t.co/RYVdy8WLsT
— ジョイ (@findelight_Joy) December 7, 2017
山梨県 塩沢立美さん
昨年5月4日、愛犬と自宅近くの荒川の土手を散歩中、「助けて」という子供の叫び声。駆けつけると、小学2年の男児が川面に浮いていた。声を掛けたが返事がない。迷わず飛び込んだ。
足がつかない。「子供の頃に遊び、浅いと思っていたので焦った。『自分もだめかも』と恐怖がよぎった」。子供の腕をつかみ岸へ向かうが、傾斜した護岸で滑り、上れない。隙間に生えていたヨシをつかみ、岸に上がった。
「おい、大丈夫か」。反応がない。即座に心臓マッサージを施した。1分ほどで息を吹き返した。
「家に帰る。お母さんが心配する」と男児の声。病院へ搬送され、ことなきを得た。
「体温が29度まで下がっていた。もう少し遅かったら危なかった」。消防関係者から聞かされた。
なかなか川には迷わず飛び込めないですよ、普通は。そこで使命感から飛び出せるハートの清らかさ。これが感動させるんですよね。
兵庫県 六車信哉さん
民家火災を発見し炎の中から80代夫婦を救出したとして、兵庫県尼崎市の会社員六車信哉さん(20)が警察庁長官の感謝状を受けた。
六車さんは「怖かったが体が勝手に反応した。絶対に見捨てるわけにいかないと思った」と振り返った。「中に人がおるっ」。周囲の人から話を聞き、勝手口の扉を開け室内に飛び込むと、既に煙が充満し、炎も上がっていた。腰が抜けたように座り込んでいた女性を見つけ、抱きかかえて外に飛び出した。
しかし、安堵したのもつかの間、女性から「まだ中におじいちゃんもおる」。一瞬、ためらいもよぎったが「自分が行くしかない」と決心し「目の前のことに集中した」という。燃えさかる民家に再び入ると、布団や落ちてきた荷物の間で倒れていた夫を見つけ、夢中で運び出した。2人を救い出すまで約3分。約5分後に消防車が到着した。
その後は冷静だった。延焼の危険が迫る隣家などに「危ないから出てきてください」と声を掛けて回り、全員の無事を確認した。のどの熱傷の疑いがあり病院に搬送されたが、幸い無傷だった。
本人も病院に搬送されるという、まさに身を挺した行動、この一歩が踏み出せる勇気と決断力にただただ尊敬します。
尼崎双星高校で過ごした3年間はラグビー部に所属。厳しい練習に打ち込んできたこともあり「ガッツが生きたのかな」と照れ笑いを浮かべた。
ラガーマンの熱いハートが、火事の炎にも負けなかったんでしょうか。紅綬褒章の受章者って、皆さんコメントもカッコいいんですよね。
過去の紅綬褒章の受章者の一覧はこちら。

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